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2024年08月09日

美術科

40回目の「美術科夏季二高ゼミ」

8月5日(月)から9日(金)までの5日間、美術科恒例の「夏季二高ゼミ」が行われました。

昭和59年に「実技講習会」として始まったこの行事は、高額の費用がかかる美術予備校の夏期講習に代わって、同様の指導を学校で受講できるようにしたのが始まりで、今回記念すべき40回目を迎えました。

特徴は何といっても充実した講師陣であり、美術科出身の大学生等が活動内容を吟味し熱心に指導を行います。今年は東京藝術大学美術学部の油画科と彫刻科、金沢美術工芸大学美術工芸学部の油画科と工芸科、広島市立大学芸術学部デザイン工芸科に在籍する卒業生を招聘しました。

受講生にとっては、各講師の持つ実技力や入試の経験など、新鮮な情報に触れ、自分の近い将来の姿を重ね合わせる機会となっています。また「油画科」「デザイン工芸科」「彫刻科」「日本画科」の各科とも、1~3年生が一緒に腕を磨く交流の場でもあります。

普段の授業とは異なり、終日に及ぶ制作は、集中力と緊張感が求められるからこそ一気に成長する機会でもあります。休み時間は他学年の生徒や講師と和やかに意見を交わしていますが、制作となると真剣な表情で、作業をする音だけが響く緊張感も二高ゼミの醍醐味です。

各科の内容も大学入試の実技に即して工夫を凝らしたものとなっています。

油画科では一面を紙で覆った室内でドローイング等に取り組み、油絵の技術だけでなく、自由や発想や対話を通して「表現とは何か」といった本質的な問いにアプローチし、個性を磨いています。

デザイン工芸科では鉛筆デッサンのほか、モチーフの特徴や言葉のイメージを用いた平面構成、粘土を使ったキャラクター制作などに取り組み、伝達効果や提案力を高めています。

彫刻科ではモチーフから発想した塑像や人物モデルの頭像を制作したほか、石膏と静物を組み合わせた木炭デッサンに取り組み、彫刻ならではの量感や動静の表現を追求しています。

日本画科では花を観察して描く細密描写や、複数のモチーフを机上に配置した水彩画、人物モデルの着彩に取り組み、繊細な観察力が発揮されています。下地に金箔・銀箔を使う日本画の実習も体験しました。

講師陣もデモンストレーションとして技能や経験を惜しみなく披露してくれました。手探りで制作する受講者にとって、目の前で行われる実演は全てがスキルに直結します。しかも詳しく説明があるので、聞いているだけでも技術力が上がりそうです。

一日の終わりは日替わりで講師による進路ガイダンスです。学習面や予備校等での実技対策、大学の授業や作品制作、生活の様子など、記録写真も交えながら多岐にわたるアドバイスをしてもらいました。

今年は例年より短い期間でしたが、二高ゼミは美術科生にとって「当たり前のレベルを上げる」経験であり、進路実現の可能性を広げ、「実技にこだわる」モチベーションを支えています。これがきっかけとなり難関大に挑戦し、将来二高ゼミ講師として後輩を指導する人材が増えることを期待しています。

物心両面からご支援頂いた保護者の皆様、講師の皆さん、本当にありがとうございました。

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