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2025年12月10日
12月2日(火)、本校体育館にて、SSH特別講演会(データサイエンス)富士フイルムによる講演会が行われました。今回の講演は、企業活動における核となる考え方、急速に進むデジタルトランスフォーメーション(DX)、そして変化の時代を生きる私たちに求められる行動原理についての講演でした。
まず初めに、仕事をする上で「しっかりとした目的を持つ」ことの重要性が強調されました。これは、個人だけでなく、企業経営においても同様に非常に大切であり、企業は地域社会に対して生活基盤の安定を目指すというミッションを果たし、持続的経営を維持していく必要性についてのお話がありましたす。企業活動においては、「Why(なぜそのタスクをするのか)」という問い、すなわち「心願」を持つことが大事であり、目的を論理立てて自分の言葉で説明し、みんなの共感を呼ぶことの重要性も話されました。
次に、デジタル技術の進化のスピードについて、具体的なデータを通じて理解を深めました。インターネットが1億人のユーザーを獲得するまでに7年もかかったのに対し、2022年に登場した生成AI(例:ChatGPT)はわずか2ヶ月で1億人ユーザーに到達しました。この急速な進化は、「情報の民主化」が進んでいることによって実現しており、情報をいつでも誰でも素早くキャッチできる環境が整っています。
しかし、現在の企業や社会のデジタル化(DX化)は、AIのない時代に作られた古い商慣習を単にデジタルに置き換えているに過ぎず、決してイノベーティブな社会とは言い切れない状況です。
AIが進化する未来において、人間には、余った時間を「本業に特化する」こと、具体的には、業界ナンバーワンになるための「意思決定」「営業」「アイデア創出(ビジネスモデルの想像)」、そして地域社会への貢献やワーク・ライフ・バランスの充実といった活動に充てる役割を果たすべきだと強調されました。
最後に、将来に向けての備えとして、単なるデジタルリテラシーやAIの理解だけでなく、「行動変容」が大切であると述べられました。富士フイルムグループでは、一般的なPDCA(Plan, Do, Check, Action)サイクルではなく、STPDサイクル(See, Think, Plan, Do)「目的の設定」「断行してやり抜く」(業務遂行)の2点が重要だと指摘されました。
また、不確実性の時代(VUCA)において、未来を考える習慣も重要です。全体の流れを捉える「魚の目」で予測を立てる(フォアキャスティング)だけでなく、「5年後の理想像から今を考える」(バックキャスティング)という思考法を身につけることが推奨されました。また、行動を促す教訓として「桃太郎理論」が紹介されました。これは桃太郎のリーダーシップに焦点を当てるのではなく、「川上から流れてきた巨大な桃を持ち帰り、価値を割ったおばあさんの異常な行動」に注目するものです。この異常な行動(機会に触れること)こそが、後の英雄的な結果に繋がりました。成功と失敗の差は「行動力」にあり、「やらない後悔より、やった後悔の方がまだマシ」であるというメッセージが贈られました。
講演後には、生徒代表の謝辞が述べられ、今回の講演で学んだ「目的を明確にすること」や「適切なテクノロジーを選択・使用すること」が、高校生が行う探究活動に直結しているという感想が共有されました。また、桃太郎のおばあさんの話から得た「好奇心」の大切さを胸に、高校生活で知識を深めていきたいという力強い抱負が述べられ、講演は終了しました。
本日は貴重な講演をありがとうございました。
〒862-0901 熊本県熊本市東区東町3-13-1
TEL:096-368-4125 FAX:096-365-5636
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