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2023年08月30日
8月29日、本校化学の先生方の協力で、美術科1・2年生希望者を対象に顔料をつくる実験会を行いました。3年前にコロナ禍で中止して以来の取組です。
化学の先生方から、実験の説明を受けます。美術科の生徒は化学の履修をしていないので、完全に理解するのは難しいのですが、異なる二つの溶液が合わさったときに起きる変化を、食い入るように観察していました。
以下、実験の内容です。
(1)プルシアンブルー KFe[Fe(CN)6]・H2O(紺青)
①塩化鉄(Ⅲ)水溶液5mLにヘキサシアニド鉄(Ⅱ)酸カリウム水溶液を少量加える。
②生成した沈殿をろ過する。
(3)クロムイエロー PbCrO4(黄鉛)
①酢酸鉛(Ⅱ)水溶液5mLにクロム酸カリウム水溶液を少量加える。
②生成した沈殿をろ過する。
特に、プルシアンブルーの変化は何度見ても美しいです。青と透明の液体の隙間に垣間見える薄い緑色も生徒たちはその美しさに魅せられていました。
実験の後は、できあがったプルシアンブルーとクロムイエローを膠で溶いて、思い思い絵を描きました。
午後はその応用編、テンペラ画に挑戦しました。一番シンプルな卵と水、オイル、酢の組み合わせで2種類の卵メディウムをつくりました。プルシアンブルーを混ぜ、画用紙に塗ってみると、硬質な輝きで触っても顔料が手につきません。ルネサンス期の名作、ボッティチェリの「春」や「ヴィーナスの誕生」を思わせる色彩の美しさでした。実験をした生徒は、水彩絵の具と違ってぼかしが出にくいなど、特徴も分析していました。
卒業生の興梠優護さんも指導に来てくれ、画家として素材研究のアドバイスを細やかにしてくれました。
卵を混ぜた溶液がなぜ絵の具の展色剤になり得るかはを理解するには、化学の知識が必要です。美術科の生徒たちの探究心と第二高校の先生方の深い知見が融合すると、さらに深い学びに展開します。これからもっとそのような機会をつくっていきたいと思います。
アクリル絵の具制作に挑戦した生徒は、三種類のメディウムと顔料を混ぜ合わせその違いを確認していました。
こうやって、探究で得た知識をみんなで共有できるよう工夫するのも、美術科の生徒たちの良さの一つです。
参加した生徒の一人が最後にぽつりといいました。「自由研究みたい」
勉強している意識がないくらい楽しかった学びだったのだろうと思います。
この輪を広げていきたいと思います。
(写真を撮っていて、実験器具の美しさに心打たれました。少しでも伝われば幸いです。)
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