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2021年06月04日
笠なしと 人には言ひて 雨障み 留まりし君が 姿し思ほゆ (万葉集 詠み人知らず)
《かさなしと ひとにはいいて あまつつみ とまりしきみが すがたしおもおゆ》
雨の季節になるとこの和歌を思います。万葉人も今の高校生も変わらない思いがあるのだろうなと思い、心に残る一首です。
万葉の時代の歌のやり取りも、現代のSNSのやり取りも、心を込めたメッセージは人の心を打つ。そして返事のタイミングが大切なことも昔も今も同じ。ICTを活用した授業実践が重なるほど、文学を含む過去の芸術への親近感が募ります。
さて美術科では、美術史を科学的視点で探究する「美術探究」という学校設定科目を1年生で開講しています。6月は、「源氏物語絵巻」を透視図法で描くという、課題を出しました。
①まず、「源氏物語絵巻」「夕霧」の作品を、1点透視図法か2点透視図法で書き直します。
②次に、気が付いたことをGoogle ClassRoomに投稿します。
(それぞれの気づきを生徒が自分の手元の画面で共有できるようにしたかったのですが、今回は失敗。プロジェクターに写してみんなで共有しました。)
例えばこんな気づきがありました。
「手前の二人の女性が主役並みに大きくなってしまった。壁があるため部屋の中がかけなかった。横から見た視点で描くと夕霧と雲居との距離感がわかりにくい。物語の一部なのに緊迫した状況よりも建物の迫力のほうが印象的になってしまった気がした。」
つまり、源氏物語絵巻のような描き方(「吹抜屋台」という技法)は、「何を一番みせたいかを表現できる」もの。
③そんな気付きを今度はGoogle Documentでレポートにまとめて投稿し、実物投影機などを活用してのプレゼンテーションで終了です。
この活動からは、「視点と思考の関連」を歴史を通して学びます。
これからの時代のクリエイターたちを、古のクリエイターたちが応援してくれていると感じた授業でした。
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