2020年12月21日
寒い朝となりましたが晴天に恵まれ、美術科1年生の修学旅行がスタートしました。 新幹線で岡山へ行き、貸し切りバスとチャーター船で香川県の直島へと向かいました。今回の旅行は2泊3日の日程で「芸術の島」直島を中心に、美術科ならではの充実した研修旅行です。
なお、この修学旅行に関する新型コロナウィルス感染症対策については次のとおりです。《参照》新型コロナウィルス感染症防止対策について
世界の一流に触れた一日
直島では、貴重な経験が目白押しです! 今回の旅行の目玉となる講演会。 講師はなんと、世界的建築家の安藤忠雄氏です。
講演の中では建築からアート、他者との関わりや環境など多岐に渡る内容を、ユーモアも交えながら話していただきました。氏のこれまでの生き方や考え方に触れ、「よく遊び、よく学べ」とエールが込められた講演に生徒たちも大きな刺激を受け、本校美術科1年生だけの特別な時間となりました。
その後はベネッセハウスミュージアムへ移動し、鑑賞です。 ここでも、美術の教科書で目にするような世界的なアーティストの作品を前に好奇心が溢れます。難解と思われがちな現代アートですが、学芸員の方の問いかけに、自分なりに考えながら意見を交わす姿はまさに「対話的で深い学び」そのものです。
また、ミュージアムの外にも様々な作品が置かれており、瀬戸大橋に沈む幻想的な夕日の中、直島の自然と合わせてその良さを感じ取ることができたようです。 さらに、夕食後には夜のミュージアムを訪れ、日中とは異なる雰囲気の中、時間の許す限り作品と向き合っていました。 何もかもが特別な経験は生徒たちの沢山のメモからも見てとることができます。
修学旅行2日目は海に映る朝焼けからスタートしました。
朝食の前に屋外の作品を見て回ったり、海岸を散歩したりして贅沢な時間です。 午前中は直島の本村エリアへ移動して、グループ毎に「家プロジェクト」の作品群を鑑賞しました。
「家プロジェクト」は点在する空き家を改修し、宮島達夫やジェームズタレルをはじめとしたアーティストが空間そのものを作品化したもので、この地区には6人の作品があります。 生徒たちは一つでも多くの作品を鑑賞しようと、マップを手にエリア内を歩き廻り、各施設では作品を感覚的に味わい、ガイドの方の説明に相づちを打ちながら色々な気付きを増やしていました。
ホテルに戻り、「新しい作品、もしくは社会システムの提案」をテーマにグループワークです。 個人が考える「アートの役割」をグループで共有し、一つにまとめ、課題を解決するアイデアを出し合い、午後の発表へと進みます。 眼から鱗のアートに触れたてきた生徒たちから、どんなものが出てくるかとても楽しみです。
グループワークの合間には、安藤忠雄の作品でもある「地中美術館」の鑑賞です。 その名の通り建物の大半が地下に埋設されており、クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの作品が設置されています。作品のためだけに設計された空間はどれもスケールが大きく、ここでは作品を見ると言うより、作品に入り込む、作品に取り込まれると言ったほうがふさわしいかも知れません。 普段は賑やかな生徒たちも、ここでは沈黙の中で瞑想するように作品を味わう姿が印象的でした。
夕方からはグループワークのプレゼンテーションを行いました。 3人または4人で編成された11のグループが、それぞれ話し合いながら練り上げたプランを提案します。「アートのある地下シェルター」、「水を揺らし地震の危険性を伝える作品」、「海中美術館」、「ゴミ問題や水質汚染などの解消に向けた作品展示」、「メンバーのもつテーマを1つの立体にまとめた作品」など、どの班もメンバーの声を丁寧に取り上げ、メッセージ性の強い提案でした。 直島の自然や作品鑑賞を通して考えたことなどから着想を得たものも多く、入力と出力をループさせる学びが機敏にできる生徒たちの資質の高さを改めて実感しました。何より全員が自分のこととして課題を捉え意見を述べる様子や、短い時間の中でも上手くまとめる美術科生のチークワークの良さを見て嬉しくなりました。
プレゼンテーションの後はジェームズ・タレルに倣って光を使った作品づくりに取り組みました。 厚紙を切り抜いて開いた部分にカラーセロハンを貼り、そこを通して光を投影するものです。暗い室内にみんなで絵柄を映し、楽しいひと時となりました。
修学旅行最終日も良い天気です。 今回宿泊しているベネッセホテル・パークは屋外に立体作品が設置され、館内もいたるところに有名アーティストの作品が展示されている、まるで美術館に泊まっているようなホテルです。美味しい朝食のあと、本村港でお世話になった方々に感謝を伝え、チャーター船で直島をあとにしました。
本日の見学地の犬島は岡山県犬島諸島の中で最も面積が広い有人島です。花崗岩の産地や銅製練業で知られ、明治時代には5千〜6千人が生活していたそうですが、その後の経済変化により現在の人口は30人程度だそうです。 犬島精錬所美術館は遺構を保存・再生した美術館で、遺構そのものが持つ重厚な構造美とノスタルジックな魅力を感じるだけでなく、自然エネルギーを活用した三分一博志の建築とともに、柳幸典の作品が設置されています。
また、犬島でも「家プロジェクト」が行われており、5つのギャラリーを歩いて巡り、「くらしの植物園」では本当の豊かさとは何かについて考えることもできました。今後の日本や現代社会に問いかけるような犬島での経験を通して、きっと生徒たちのアートに対する考え方のチャンネルが増えたことと思います。
寒風の中一日よく歩いたこともあり、現在、帰りの新幹線の中では寝ていたり、読書をしたりとみんなのんびりとしています。 わずか2泊3日の旅行でしたが美術に携わる高校生にとって、今回の旅行の影響は計り知れないものがあったと思います。 旅行中に触れた多くのアーティストのように、表現を通して考え方や生き方を探求する。生徒たちの「当たり前」のレベルが世界基準に達する日も近いかもしれません。
今回の修学旅行はコロナ禍の中での実施であったこともあり、多くの方々に本当にお世話になりました。ありがとうございました。
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