2021年10月22日
10月は総合型選抜、学校推薦の出願準備と一般入試の実技対策、共通テスト対策と3年生は気が休まる余裕はありません。(写真は10月の授業の様子です)
そんなある日、面接の指導をしていましたら、おうちの人との素敵なエピソードを聞きました。
「得意教科は?」の質問に「古典で、特に和歌が好きだ」ということでした。詳しく聞きますと、おうちの方が学校の先生で、テストでいい点を取っても、友達から「教えてもらったんでしょ」と言われて悔しい思いをするときもある。そんなとき、百人一首で有名な「大江山 いく野の道は 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立」を思い出すそうです。
有名なエピソードですが、和泉式部を母に持つ小式部内侍は出仕して華やかな世界に足を踏み入れますが、意地悪を言う人もいたようです。歌会の際、「お母さんにはもう連絡しましたか? お返事がまだ来ていないなら心細いでしょうね。」とからかった意地悪な貴族を引き留め、とっさの機知で「大江山・・・」の歌を詠んだところ、相手はすごすごと引き下がったそうです。(田辺聖子さんの「小倉百人一首」を参照しました。)
その生徒は「1000年という時を超えて、人と共感できる。さらにその思いを芸術として昇華している凄みに励まされた。そしてそんな世界を自分に教えてくれた親に感謝している。」ということでした。
さて、今美術科は受験真っ盛りです。指導しながら思うことは、親も教師も、代わりに受験してあげることはできないということです。きっと和泉式部は「娘を助けてあげられるものなら、助けていた」ではないかと。しかし、子どもは親が知らない間に成長しているものなのでしょう。
第二高校の生徒たちも変わっていないようで、見えない部分で大きく成長していて、きっとよい未来を作ってくれることと思います。
受験は団体戦といいますが、家族の物語もそこに現れます。一つ一つの思いを大切に、この時期を乗り越えたいけたらと思います。
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